未完のオベリスクとは

エジプト旅行のハイライトのひとつとして、アスワンにある「未完のオベリスク(Unfinished Obelisk)」を訪れました。古代エジプトの遺産が色濃く残るこの場所は、オベリスクの製造過程を間近に見ることができる貴重なスポットです。これからエジプト旅行を計画している方のために、未完のオベリスクの歴史や背景、大きさ、製造方法、運搬方法について詳しくご紹介します。
未完のオベリスクとは?
未完のオベリスクは、古代エジプトの新王国時代(約3500年前)に作られた巨大なオベリスクですが、製造途中で岩に亀裂が入ったために放棄されたものです。このオベリスクが完成していれば、古代エジプトで最大のオベリスクとなっていたと考えられています。
未完のオベリスクの大きさ
未完のオベリスクのサイズは驚異的で、全長約42メートル、推定重量は約1200トンにもなります。この大きさの石を古代の技術で加工していたことに驚かされます。もし完成していたならば、現在エジプト国内や世界に存在するどのオベリスクよりも大きなものになっていたでしょう。
オベリスクを作っていた人々
オベリスクの制作を担当していたのは、主に熟練した石工たちです。彼らはファラオの命によって、王や神殿のための記念碑を作る重要な役割を担っていました。また、石切り場は過酷な労働環境であったことから、一部の歴史家は、戦争捕虜や犯罪者が強制的に働かされていた可能性も指摘しています。
オベリスクの成形方法
未完のオベリスクを見ると、花崗岩をどのように削り出していたのかがよく分かります。石工たちは、下のような流れで花崗岩を加工していたようです。そして、古代エジプトでは青銅や銅の道具が一般的でしたが、アスワンの花崗岩のような硬い石の加工には使えなかったため、ドルリット(火成岩の一種)製のハンマーを使って、長い時間をかけて作業を行っていました。今でも現地にはこのハンマー(何度も花崗岩に打ち付けて丸くなったもの)がいくるも残っています。
- 岩の表面を削る – ドルリット製のハンマーで表面を削り、オベリスクの形を整える。
- 溝を掘る – 石の四方に深い溝を掘り、徐々に岩から切り離す。
- 切り離しの仕上げ – 溝の底に木製のくさびを打ち込み、水を含ませて膨張させることで岩を割る。
しかし、未完のオベリスクは途中で大きな亀裂が入ってしまったため、切り離す作業が中止され、そのままの状態で残ることになりました。
完成したオベリスクの運搬方法
もしこのオベリスクが完成していた場合、どのように運ばれたのでしょうか?
- 切り離したオベリスクを丸太に乗せて移動 – 石を引きずるために木の丸太を並べて、滑らせながら移動する方法が用いられたと考えられています。
- ナイル川を利用した輸送 – アスワンから神殿がある地域(ルクソールやカイロ)まで運ぶために、大きな船に積んでナイル川を下る。
- 設置の際は砂を利用 – 神殿に到着したオベリスクは、傾斜をつけた砂のスロープの上を引き上げ、ゆっくりと立ち上げる。
このように、古代エジプトの人々は非常に高度な技術と知恵を駆使して、巨大な石を運び、設置していたのです。
まとめ
未完のオベリスクは、古代エジプトの石工技術やオベリスク製造の過程を知るうえで貴重な遺跡です。実際に訪れると、その巨大さと精巧な加工の痕跡に圧倒されます。私自身、未完のオベリスクは実際に訪れる前は、ただの大きな岩山だと思っていたのですが、実際に訪れてみて、想像以上の大きさとそこでどのように作業していたのかを感じられるようば場所でとても興味深かったです。
エジプト旅行を計画している方は、アスワンを訪れる際にぜひ足を運んでみてください。古代エジプトの驚異的な技術を肌で感じることができるはずです!