ホルス神殿

エジプトを個人で旅行し、アスワンからルクソールへ車で移動する途中、ホルス神殿(エドフ神殿)に立ち寄りました。これからエジプト旅行を計画している方向けに、ホルス神殿の歴史や背景、見どころを紹介します。
ホルス神殿の歴史と背景
ホルス神殿は、エジプト南部のエドフに位置し、紀元前237年にプトレマイオス3世の時代に建設が始まり、約180年の歳月をかけて完成しました。エジプト神話に登場するホルス神(ファラオの守護神)を祀る神殿であり、プトレマイオス朝時代においても古代エジプトの伝統を継承した壮大な建築が施されています。
ホルス神は、オシリス神とイシス女神の息子であり、セト神との戦いに勝利したことで知られています。神殿の壁画には、ホルス神とセト神の戦いの場面が描かれており、エジプト神話を知る上で非常に興味深い遺跡です。
ホルス神殿の見どころ
1. 壮大な第一塔門(パイロン)
ホルス神殿の入り口には、冒頭の写真のような高さ約36メートルの巨大な塔門があります。正面にはホルス神が敵を打ち倒す姿のレリーフが刻まれており、その迫力には圧倒されます。
2. ホルス神の巨大な像
神殿の入口付近には、ホルス神を象徴するハヤブサの石像が立っています。この像は黒い花崗岩で作られており、精巧な造りが特徴です。写真映えするスポットとしても人気があります。

3. 美しい壁画とレリーフ
神殿内の壁には、プトレマイオス王が神々に供物を捧げる場面や、ホルス神がセト神と戦うシーンが描かれています(下の写真はホルス神がセト神との戦いに勝ったことを表している壁画です)。神殿の奥へ進むほど細かい装飾が施されており、じっくり鑑賞する価値があります。


4. 壁画の破壊の背景
上の写真を見てもらうと分かるように、ホルス神殿の壁画の一部は、意図的に削り取られているものが多く見られます。これは、異なる宗教観を持つ後世の人々によるものと考えられています。特にキリスト教がエジプトに広がった時代(4~5世紀頃)には、多神教の偶像崇拝を禁じる考えから、神々の顔や姿が削り取られることがありました。また、イスラム時代にも神殿の一部が破壊されるなど、長い歴史の中でさまざまな変遷を経て現在に至っています。それでもなお、ホルス神殿の保存状態は非常に良く、当時の壮大な建築や装飾の美しさを十分に感じることができます。
5. 聖堂と至聖所
神殿の最奥部には、神の聖なる船(バルク)を安置するための至聖所があります。かつてはここにホルス神の神像が祀られていたとされ、神聖な雰囲気が漂っています。

6. 神殿の保存状態の良さ
ホルス神殿は、エジプトの数ある遺跡の中でも特に保存状態が良いことで有名です。屋根が残っている部分も多く、古代エジプトの神殿建築を体感できる貴重なスポットです。
まとめ
ホルス神殿は、ホルス神とセト神の戦いなどエジプト神話を知ってから行くとより楽しめる場所です。アスワンからルクソールへの移動途中で立ち寄るのにちょうどよい位置にあり、個人旅行でも比較的アクセスしやすい遺跡の一つです。これからエジプト旅行を計画している方は、ぜひ旅程に組み込んでみてください。